今回は「水俣条約と水銀大気排出の抑制」と題して、私が毎月読みかじっている月刊誌「INDUST」の中の記事を抜粋し「水俣条約」とはどのような条約であるのかを書いてみたいと思います。
水俣条約は、2013年10月に熊本・水俣で開催された外交会議において採択された条約です。わが国は、本年2月に23番目の締結国としてこの「水俣条約」に締結しました。条約の発効は50カ国が締結してから90日後とされており、本年6月14日時点で28カ国が締結しています。
さて、水銀及びその化合物は、地球規模で見た場合どのような活動で排出されるのでしょうか。
@ 火山活動、岩石の風化等の自然現象(10%)
A 化石燃料(特に石炭)の燃焼や廃棄物の焼却等の人為的活動(30%)
B 土壌、水域および植物に蓄積されたものからの再放出(60%)
等によって環境中に排出されます。
このため、環境中を循環する水銀量を削減するためには、人為的な活動からの排出を削減することが極めて重要です。水銀が人の健康及び環境に及ぼすリスクを低減させるため、水銀に対して産出、使用、環境への排出、廃棄等そのライフサイクル全般にわたって包括的な規制を行う始めての条約です。
また、大気排出抑制に関する事項としては、水俣条約付属書D(付属書はA〜Eまで、付属書D:水銀及び水銀化合物の大気への排出点源リスト)に定める5分類(石炭火力発電所、産業用石炭燃焼ボイラー、非鉄金属製造に用いられる精錬およびばい焼の工程、廃棄物焼却設備、セメントクリンカー製造設備)に該当する施設からの大気排出を規制し、実行可能な場合には削減することとされています。
日本における水銀排出量は、2014年度において年間約18tと推計されており、そのうち廃棄物焼却炉からの排出は5.4tと推計されています。
以上の背景を踏まえ、産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令、産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則、並びに特別管理一般産業廃棄物及び特別管理産業廃棄物の処分又は再生の方法として環境大臣が定める方法等が改正されました。
次回は、産業廃棄物処理法の施行令、施工規則等の改正を具体的にお伝えしたいと思います。