皆さん、こんにちは!4月になりました。春うらら。桜の開花宣言が全国各地から届く時期。今週末はお花見を予定している方も多いのでは。お花見では酒を飲み過ぎて酩酊状態に陥る苦い記憶のある私。その節は皆さまにご迷惑お掛けしました。いまだに「オトナ」のお酒のたしなみ方を知らないのに今年もお花見を楽しみにしているTUBOJUNです!
さて、今回は再び空き家問題を取り上げます。当社の本社が立地する浜松市天竜区は政令指定都市の中にありながら過疎に直面する地域。放置された空き家と思しき家屋も目立ちます。「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空き家対策特別措置法)が昨年施行されましたが、今年は具体的な動きが出そうです。空き家問題のキーとなるのは「税」。
「空き家対策特別措置法」では治安や防災上の問題が懸念される空き家の所有者に市町村が撤去や修繕を勧告・命令できると規定しています。ここ浜松市でも老朽化し倒壊の恐れがある空き家の実態調査を実施しており、その結果をもとにした対策推進計画の策定と代執行を含めた行政指導等を今年度以降行っていく予定としています。
除却や修繕の指導、勧告、命令の対象になるのは「特定空き家」の所有者です。「特定空き家」の判断基準は下記のいずれかに該当する場合です。
1.そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態。
2.そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態。
3.適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態。
4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態。
市町村が調査マニュアルを策定するということですが主観的判断にならざるを得ず、実際に「特定空き家」への指定は周辺住民からのクレームが最大の動機となりそうに思います。
解体されず空き家のまま放置される要因の一つが税金の問題です。従来は空き家であっても住宅が建っていることにより「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税・都市計画税が最大6分の1に減額されていました。しかし、「特定空き家」に指定されると「住宅用地の特例」の軽減措置を適用しないことが平成27年度に決定されました。今年以降、空き家が所在する土地の固定資産税が上がる可能性があるということです。
また、空き家対策は固定資産税だけでなく相続税とも関連します。貸家やアパートが建っている土地は貸家建付地として相続税の評価を下げますが、老朽化し借りている人がいないまま放置されている貸家やアパートは自用地・自用家屋とみなされ評価を下げることが出来ません。アパートは相続税対策として建てられるケースが多く、築年数が古く入居率が下がったアパートを持つ大家さんにとっては悩ましい問題でしょう。
さらに所有者が不在の建物を市町村が取り壊す場合の「行政代執行」にも税が関係します。空き家対策特別措置法により自治体内の税金を扱う部署が持っている固定資産税の情報を所有者確認に内部利用できるようになりました。登記簿、住民票、戸籍の照会や周辺へのヒアリングに加え空き家の土地・建物について誰も納税していないことを確認し所有者不在の証明とみなし代執行を可能とするのです。そんな感じで「税」が空き家問題に一石を投じる鍵となりそうです。
しかし、空き家問題の本質は人口の減少、世帯数の減少、都市部への人口集中によるものです。空き家はそれらの象徴であり、「空き家対策特別措置法」は対症療法に過ぎません。総務省の2013年の調査によると、全国の空き家は820万戸に上り、20年前の1.8倍に増加。実に7軒に1軒は空き家なのです。このうち長期間に渡って人が住んでいない「放置空き家」が318万戸を占め、2023年には500万戸にまで増加すると予測されています。この問題は空き家を所有する人だけでなく、近い将来、全ての人に突き付けられる切実な問題でしょう。
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