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T U B O J U N コ ラ ム(VOL.8)
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「カレー一皿1000円の経済学」

皆さん、こんにちは!天候不順でイマイチ夏らしくもない夏がいつの間にか終わり、すっかり秋めいてきました。秋といえば「読書の秋」「芸術の秋」「スポーツの秋」「収穫の秋」「行楽の秋」などなど、「○○の秋」として様々に連想させるように日本の文化の中でも重要な季節。しかし、私の場合だけではなく多くの皆さんにとって何といっても「食欲の秋」でしょう!まあ、私はもともと夏バテもありませんし食欲は年中無休。食欲の秋を迎えて中年太りがますます心配なTUBOJUNです。

実は3ヵ月ほど前から毎週月曜日にリサイクルクリーンのグループ会社の駐車場に移動販売のクルマが来ています。主なメニューはカレー。カレーは作るのも食べるのも大好きな私としては、この移動販売を見て興味津々。早速買いに行ってみました。狭い中に機能的に作られたワンボックス軽自動車の中で手早く調理し提供されますが、短い待ち時間に店主に話しかけてみます。すると、「脱サラして商売を始めたばかりですが、何とかなっている」という感じのお答え。そうですか〜。そんな話を聞くと私も脱サラして・・、なんて不謹慎な考えもアタマによぎるところ。私なら自慢のダッチオーブンを使った無水調理でコトコト煮込んだとろけるカレーを売りにしようか?そんな想像(妄想?)を廻らすのも楽しいですね。

ところで、このカレーの移動販売ではシンプルな野菜カレーを500円、トッピングした焼きチーズカレーを650円で販売しています。カレー専門の外食産業とコンビニや弁当店といった中食産業の中間くらいの価格設定でしょうか。長引くデフレ経済のもとで成長した「すき家」に代表される低価格外食産業と比較すると、申し訳ありませんが「割安」とは思えません。国民食ともいえるカレー。しかし、同じく国民食的な食べ物であるラーメンと比べると外食での単価はラーメンよりカレーの方が高いのが一般的。カレー一皿1000円なんていう明らかに割高なプライスも当り前。そんなイメージが定着したのは何故なのか?今回はその辺について考察してみましょう!

大人も子供もみんな大好きな国民食であるラーメンとカレー。しかし、ラーメン専門店とカレー専門店の外食産業での市場規模を調べてみると、ラーメンが4000億円を超えるとも云われているのに対して、カレーは900億円程度と意外なほどの差があります。焼肉(5000億円)、宅配ピザ(1260億円)、牛丼(3700億円)などと比べても明らかに見劣りがするのです。また、そのカレー専門店市場は1200店舗を超える巨大チェーンであり『ココイチ』の愛称で繁盛する「カレーハウス CoCo壱番屋」のみでカレー専門店市場の8割以上のシェアを占めるというのも大きな特徴でしょうか。

家庭でも簡単に作れる国民食でありながら、熾烈な価格競争を繰り広げる牛丼チェーンやハンバーガーチェーンなどと比べて価格競争的なものが無いのも不思議なところ。最大手の「カレーハウス CoCo壱番屋」の平均客単価は800円を超えるといい決して安くはありません。うっかり欲張ってトッピングやサイドメニューを注文すると1000円を超えることも当り前。圧倒的スケールメリットを持つはずの最大手チェーンでもその単価ですから、カレー専門の独立系個店で一皿1000円になるのは必然でしょうか。もっとも、ラーメンや牛丼と比べてカレーは食材の原価が特別高いのか?と考えると、そうでも無さそうです。300円の牛丼も、700円のラーメンも、1000円のカレーも、それぞれ食材原価は恐らく200円程度で同じくらいと見込まれます。

それではカレーが一皿1000円になるのは何故か?それはランチタイムで勝負しなければいけないという点でしょう。お酒との相性が良くないのでディナーは1回転程度で客単価も上げにくい。牛丼やラーメンと違って夜食のイメージもないためランチ以外の回転率を他の外食業態並に上げることは難しい。それでいて人件費や家賃は同じようにかかるので食材の原価率は低く抑えられがちになるのです。逆にいうと高い単価を設定せざるを得なくなる。もっとも、それは食材原価に限っての話。カレー専門店で既製品や業務用のルーを使って「家で作るのとあまり変わらない味」と思われるとリピートが望めません。一食当たりのスパイスそのものの原価は知れているとしても独自で調合するノウハウや長時間かけて仕込みをする人件費も当然カレーの原価を構成するものなのです。どこまでルー(スパイスや調味料)に手をかけるかがカレーの実質的な原価を押し上げるのです。外食なら手間、家庭なら愛情、それがやはりカレーの味の決め手でしょう!!

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