2020年10月05日
お知らせ
廃棄物処理法に基づく立入検査について
先月号では、廃棄物処理法第18条に基づく報告徴収について書きましたが、今回は第19条に基づく立入検査について書いてみたいと思います。 まず、法第19条第1項では、「都道府県知事(政令市長を含む。)又は市町村長は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、事業者、処理業者その他関係者の事務所、車両、廃棄物処理施設に立ち入り、廃棄物若しくは廃棄物であることの疑いのある物の保管、収集運搬若しくは処分、廃棄物処理施設の構造若しくは維持管理等に関し、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。」と規定されています。
前回と同様にこの規定を解釈すると、以下のとおりとなります。
1 産業廃棄物の処理や廃棄物処理施設の維持管理については、都道府県知事又は許可権限を有する政令市長に、一般廃棄物の処理に関しては市町村長に与えられた調査権限であること。
2 許可権者の職員をもって、廃棄物の発生または処理の現場に立入り、検査することができること。
3 検査対象先は、廃棄物の発生から処理に係る場所及び施設全般にわたること。
法第18条に基づく報告徴収が、調査対象者からの文書提出であるのに対し、第19条に基づく立入検査は、職員が直接対象場所に出向き、自らの目で確認したり関係者から状況を聴取することで、調査権限を行使するものです。
ただし、私の経験から言わせてもらえれば、同じ行政庁の調査権の行使ですが、19条立入検査については、適正処理が行われていることを確認するための調査に主眼が置かれていると考えます。もちろん法違反の疑いがあって立入検査する場合もありますが、ほとんどは立入検査計画に基づく現地調査の実施という点で、18条報告徴収とは、意味合いが違うことが多いです。
ちなみに、令和元年度に浜松市が実施した立入検査の結果は、以下のように公表されています。まず、排出事業者に対しては、
となっています。蛍光灯安定器に含まれるPCBの掘起し調査に重点を置いている関係で、その他業種への検査数が多くなっています。次に、産業廃棄物処理業者に対しては、
となっています。市内における処分業許可業者数は、普通物72、特管物5ですから、1業者当たり年間に平均1.5回の立入検査が実施されている計算になります。先ほども述べた通り、立入件数の80%以上(排出事業者は90%)が、法的な問題はなく、適正処理が確認されたという結果になっています。
読者の皆さんにとっては、許可権者の職員が立入検査で来社することは稀ですので、何か違反行為をしたのかと慌ててしまい、つい実際にしていないことを言ってしまいがちですが、職員に、それを見抜かれてしまい、しどろもどろという事例を何回か見てきました。
要は、法に基づく適正な処理が履行されているかを確認するのが立入検査ですから、例え軽微な違反があったとしても、それを指摘してもらい(これが口頭指導)火種の小さいうちに軌道修正するというスタンスで臨むべきです。ありのままを職員に見てもらう、指導事項は真摯に対応し、社内で情報共有してそれを繰り返さない姿勢で立入検査を受けると良いでしょう。逆に、次の立入検査でもその違反状況が改善されていないのであれば、段々と事態が深刻化していくことは、火を見るより明らかです。