2017年11月06日
TUBOJUNコラム
第34回 「Across The Universe」
皆さま、こんにちは!人生には様々な選択の場面がありまして、元来能天気な私は自分の取った選択に対してさして後悔することはありません。強いて言えば「昨日は飲み過ぎた・・」という二日酔いの朝くらいのもの(それはよくある)。そして唯一大きな後悔といえば大学進学にあたって文系を選択したこと。元々は典型的な理系男子。高校も理系クラスに居ながら3年生の時にある煩悩を生じ文転。時はバブル絶頂期。羽振りの良さそうな金融機関に興味を持ち、大学は経済学部に進んだのです。子供の頃から大好きだった理科ワールドをあっさり諦めたことにはいまだ後悔の念があります。あのまま理系の大学に進学していれば全く違う人生を歩んだのだろうな、とも。
そんな他愛のない事を思い出したきっかけは、「米欧の国際研究グループが1億3000万光年離れたところにある中性子星が合体した時に発生した重力波を初めて観測した」という先月のニュース。一般紙にも掲載されていましたのでご存知の方も多いでしょう。その記事を何度も読み返しゾクゾクする私。宇宙大好きですから。学問あるいは職業として宇宙に関わることが出来たなら・・という後悔の念はありますが、専門でない立場からつまみ食いのように楽しむのは文系男子の特権でもあります。特に宇宙。時間と空間。つまり時空の極限の状態を想像するのは極めて楽しい。宇宙の果ては?宇宙の誕生は?ビッグバンの前は?なんて考え始めると知的エクスタシーでもう・・堪りません!
もっとも素人がいくら考えたところで所詮妄想に過ぎず、答えは絶対に得られません。そもそも宇宙は人知の限界にあるという意味では素人だろうと科学者だろうと似たようなものでしょう。私の好きな話に、周智郡森町(会社の近く)出身の天文学者であり東京大学名誉教授の松井孝典氏が宇宙の大きさを問われて答えたフレーズがあります。「The universe is as big as your brain(宇宙の大きさは、君の脳の大きさと同じだよ)」。これは至高なる名言です。宇宙はヒトの脳の中にある。サルに宇宙はない。観測できる宇宙より遥かに大きな概念上の宇宙が人間の頭の中に広がっている。そんな科学の無限の可能性に触れると、人生やり直すならやっぱ理系だな~!と思うのです。
話は戻って、今回の重力波の観測により金や白金(プラチナ)などの重い元素は中性子星の合体の時に放出される物質から合成されることが推測されました。138億年前の宇宙誕生時には水素やヘリウムなど軽い元素しか存在せず、生物の体をつくる鉄などの元素は宇宙が進化する過程で出来たと考えれています。鉄までの重さの元素は恒星の中の核融合により作られますが、金などそれ以上重い元素は恒星が一生を終える前に起こす超新星爆発により出来ると従来考えられていました。それが今回の観測により、星の進化の最終段階に起こる超新星爆発の後に残された中性子星がペアをなし、重力波を放出しながら衝突崩壊合体する時に生成されるということが判明したのです。人知は物質の起源に迫った。
ということは地球上の全ての物質も、私たち自身の体も、元をたどればこの宇宙の中のどこかの星から生まれたのです。人はよく死んだら「あのお星さまになった」なんて例えますが、実際にはその逆。「お星さまが死んで、あの人になった」ということ。そして私の左手の薬指にはめられたプラチナの結婚指輪を眺める・・。結婚から15年も経つとすっかり古ボケくすんで見えます(気持ちの問題?)が、遥か彼方の中性子星合体により宇宙空間に放出された元素が巡り巡って今ここにあると思うと、急に輝きを増すような感じがしないでもありません。ん?おお~っ!頭の中に「Across The Universe」(ビートルズ)のジョン・レノンの歌声が響き渡る!そう、この世の全ては夜空に輝くあのお星さまから時空を超えてやって来た!!究極のロマンチックですね。
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