2018年02月05日
廃棄物ひとくちコラム
第23回 <廃棄物処理法はどう変わったか(その5:産業廃棄物処理基準の強化Ⅰ)>
半年間ほど水銀廃棄物に係る法改正や岐阜県内での汚泥流出事件について緊急連載をしましたので、中断していましたが、繰り返された法律改正の結果、法律の規定がどのように変化してきたかという視点で罰則や排出事業者責任さらには処理業許可基準強化の変遷を書いています。
今回は、産業廃棄物を適正に処理するために遵守しなければならない決まり=処理基準について書いてみたいと思います。冒頭確認しておきたいのは、処理基準は、排出事業者にも処理業者にも適用されるもので、その内容は同一であるということです。以前にも書きましたが、産業廃棄物処理の責任は排出事業者にあり、自ら出来ない部分を許可を有する処理業者に代行してもらうことが制度の根幹となっていますので、当然と言えば当然ですが、ここを勘違いしている排出事業者が多いのが事実です。一例として、保管施設を見てみれば、囲い、飛散流出・地下浸透しないための措置、掲示板等、処理業者ばかりでなく排出事業者の保管施設にも適用される基準は同じです。
今回の本題に戻って、処理基準が強化されてきた状況ですが、とても1回では書き切れない膨大なものとなっています。このシリーズの最初に取り上げた「委託基準」も処理基準の一部だと言えますし、「冷凍カツ横流し事件」の際に書いた「管理票」も同様です。管理票については、機会を改めて書きたいと思いますが、皆さんの最も身近なところで見てみると、収集運搬車両への表示義務が挙げられます。この表示義務も実は、収集運搬に係る処理基準の一部として規定されている事項で、廃棄物処理法47年の歴史の中では比較的新しく平成17年に追加されたものです。処理業者は、許可申請又は変更届の段階でチェックされますので基準を満たしていないことは稀ですが、先ほどの保管施設と同様に、排出事業者の自ら運搬に際しても適用されますので、注意が必要です。
表示する場所:車両の両側面 ドアでもボディ(側板)でも可
表示の方法:原則は必要項目をペンキ書き(マグネット板の貼付もOKだが、脱落注意)
また、時々見掛ける違反行為の例として、建設工事現場で発生した産業廃棄物を処分先まで運搬する際、運搬行為(車両・運転手)は下請け業者が行っているのに、元請け業者名の記載されたマグネット板を貼付していることが散見されます※。この行為は、虚偽の車両表示をしたことで違法ですが、それより重大な違反行為である「無許可営業」「名義貸し」「無許可業者への処理委託」「処理委託契約書の不作成」「管理票の虚偽記載」など重大な違反行為となる可能性が高いですので、絶対にやめてください。