2019年10月03日
おしえてクリンちゃん
クリンちゃんの廃掃法豆知識
以前にもメルマガ原稿として掲載した事がありますが、再度廃棄物処理法を理解する意味でも掲載してみたいと思います。昨今の廃棄物を取り巻く現状は大変厳しく、特に廃プラスチックの処理に関しては東南アジアや中国向けの輸出に規制が掛かり、国内処理に方向転換されています。しかしその廃棄量のどれ位がリサイクルされているのか疑問です。多くは埋立や単純焼却されているのではないでしょうか。国は対応処置として優良認定業者に限るとの限定を付けて処理施設での廃プラスチックの処理前保管量を2倍にするとの廃棄物処理法の一部改正をしましたが、この改正がどれ程の効果があるのか私の個人的な意見としては大変疑問です。根本的な解決策には程遠いのではないでしょうか。
【廃棄物処理法とは何か・・・】
廃棄物処理法の正式名称は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」と言います。法律はどの法律もそうですが、複雑な法体系です。廃棄物処理法もそうです。「法律本文」、「施行規則」、「施行令」、「告示」、「通知」、「通達」。
法律本文は国会の議決を以って法律として制定されますので一番効力が強く決まりごとの中では最上位です。しかしこの「法律」というものは、総じて曖昧で理解しにくいものです。法律を専門に勉強していれば理解力も高まるのでしょうが、日々追われる仕事の中で勉強し理解力を高めるのは至難の業です。特に廃棄物処理法は最たるものではないかと、私的な考えではありますが廃棄物に携わる者として何時も感じています。法改正のたびに継ぎ足ししたような内容で非常に読みにくいものとなっているように思います。しかし、変化する状況に合わせて柔軟に対応したり、時代の変化に対応するために具体的ではない文章で書かれているのだと思えば一理あります。
そこで、法律で曖昧な部分を補うのが「施行令」や「施行規則」です、順番的には「施行令」「施行規則」の順番で細かくなっていきます、法律の曖昧さを施行令で補い、さらに詳細を施行規則で明確化していきます。「告示」は「施行令」「施行規則」のように、法律の委任を受けて詳細を定めるものです、告示は廃棄物管理においては、埋立基準や分析方法などの、技術的な内容を扱います、これらは法律の委任を受けて規定されるので違反した場合には法律で定められた罰則に基づいて罰せられます。
「通知」とは法的拘束力がありません、これは、環境省から都道府県知事に発せられるもので対象は排出事業者ではなく、行政同士での「助言」という位置づけとなります、各地方行政はそれを受け取った上で、判断し法的拘束力を持たせるかを決めます、ですから通知をどのように判断し活用するかは各地方行政に任させられているのです。「通達」と「通知」は似ていますが、通知が「助言」なのに対して、通達は上位の行政府(環境省等)から下位の行政府(地方環境事務所等)に向けて発せられる判断基準です、「通達」に従って行動する「義務」が発生します。「通知」・「通達」も行政同士のやり取りであって、事業者等を縛ることはできません。
また、その下には地方自治の規則体系があります、「条例」「施行規則」「指導要領」です、これは自治体ごとの独自ルールであり、自治体の中だけで効力があります、条例に違反した場合も条例が定める罰則に問われます。「指導要領」や「指導要綱」とは地方自治体が自ら作る判断基準や指針です。
以上を踏まえて事業者が行うべきこととは何か、一番はこれらの法体系を理解することです、法体系を知った上で事業者としての「義務」を判断することが大切です。全ての事業においてそうですが、大切な事は「遵法の精神」、コンプライアンスです、常に人に恥じない事業を継続していくことではないでしょうか。