2017年05月09日
TUBOJUNコラム
第28回 「渋滞学」
皆さま、こんにちは!先のゴールデンウィークは如何お過ごしになりましたでしょうか?私はといえば、波に揺られ波に乗ってとサーフィン三昧。その結果、年甲斐もなく黒々と日焼けしてしまった次第。別にお金を使う訳でもなく、少し早起きして1日のうち2時間ほどを近場の海でのんびり過ごしただけですが、いかにも連休を満喫した風貌に見られてしまうのが・・、いささか恥ずかしいTUBOJUNです!
ゴールデンウィークや盆休みといえば、かつてはバイク仲間と長距離ツーリングに出掛けたものです。しかし、最近は行かなくなりました。その理由の一つが渋滞。連休でしか行けない場所を訪れた良き思い出もありますが、反面、連休ならではの延々と続く大渋滞の思い出も。あれを味わうのか・・と思うと計画する前に気持ちが萎えてしまいます。数泊以内で行ける範囲は大体行き尽くしたし、何も好き好んでゴールデンウィークの渋滞にハマってイライラしなくても、とも。
道路上の渋滞に限らず、観光地やイベントの人混みにしても然り。ゴールデンウィークに限らず世の中は渋滞だらけ。分かっていてその場に行くなんて、余暇が逆にストレスに転ずるなどと考えるようになったのもトシのせいか・・。それはさておき、世の中にはそんな渋滞というものを学問にしている人がいまして、マスコミへの露出も多い東京大学の西成活裕教授が有名。この連休中は、わざわざ渋滞を味わいに遠出することなく、海三昧の合い間、同教授の著書「渋滞学」を読んでみました。
人や車は自分自身の意思を持ち自発的に動くため、それぞれの個体を粒子として捉えると「非ニュートン粒子」として考えることが出来ます。学問的には、渋滞とは、それらの「自己駆動粒子」が臨界密度を超え自由相から渋滞相に相転移することと定義されます。渋滞が始まる一歩手前には臨界密度にあるメタ安定状態があり、それが上り坂などで車間が詰まりブレーキの連鎖反応により不安定化し渋滞を生じるという。学問っぽくするため当り前の事を敢えて難しい言葉に置き換えているだけのような気もしますが。
さて、それでは渋滞を防ぐためには?車間距離を詰めないことが重要と教授は説くが、現実的には大いに疑問です。だって、自分は車間距離を空けても他の人が割り込んでくるじゃん!!渋滞は意思を持つ自己駆動粒子の過密な集まり。ならば教授自身が説くように部分の集まりと全体は異なる。部分同士が相互作用しているなら、全体は単なる部分の和になりません。結局、車にしても人にしても多過ぎるのが渋滞の単なる原因であり、それ以上でもそれ以下でもない。従って臨界密度を超えた場合、渋滞は回避することも解消することも出来ないというのが結論でしょう。渋滞は人間が作り出しているものだから。
そもそも渋滞するのを承知で大渋滞に巻き込まれるのも、人混みに疲れ切るのも、ゴールデンウィークなり盆休みの特別気分を彩るイベントの一つと割り切るしかありません。「都会は石の墓場です。人の住むところではありません」(ロダン)と分かっていても、「やっぱり人間の群れにもどるよりしかたないじゃないか」(開高健)と回帰する。初夏の陽光にキラめく海の波間を漂いながら先人の警句を白想する、この5月の連休でした。
TUBOJUNの日々の仕事の様子はコチラ http://www.recycle-clean.co.jp/stuff/blog04