2018年03月05日
廃棄物ひとくちコラム
第24回 <水銀廃棄物に係る法律改正ついて(その4:許可証の取扱い)>
昨年来3回に渡り水銀廃棄物に係る法律改正の話題を取り上げてきましたが、2月中旬に静岡県の取扱要領が公表されましたので、その内容から皆さんに関係する部分を抜粋してお伝えをさせていただきます。
まず確認ですが、この法律は既に昨年10月1日から施行されていることは皆さんご存知ですよね。そうした中で、これまでは「困った」「どう対応したら良いのか」といった声があまり届いてこなかった感があります。多くの事業者・処理業者に関係する法律改正なのにと思いながら過ごしてきましたが、ここに来て静岡県の要領が公表されたのを契機に、急に騒がしくなってきました。今後、この周知が進んでいくと、もっと色々な疑問や話題が出てくるのだろうと思います。
前置きが長くなりましたが、本題に入ります。静岡県が公表した要領の中で最も注意したいのは、許可証の表記に関して以下のことです。
①「水銀使用製品産業廃棄物を含む」は表記しても、「除く」の表記はしない。
②含む場合も品目毎の表記とする。
まず①については、先行して括弧書きを行っている「石綿含有産業廃棄物」と表記方法が異なる点に注意が必要です。石綿含有の場合は、取扱品目の後に括弧書きで必ず「含む」又は「除く」の表記をしていましたが、水銀使用製品では、「除く」の表記がされないことになりました。なぜ混乱を招くこのような表記に至ったかは定かではありませんが、許可証は処理業者の身分証明である一方、取引先への提示の目的を有している訳で、排出事業者に混乱を与えるこのような表記は、今すぐにでも変更すべきと私は考えています。
改めての確認ですが、「水銀使用製品産業廃棄物」を取り扱うことができる収集運搬業者は、平成30年3月31日までに交付された許可証で、ガラスくず、金属くず、廃プラ等該当品目の許可を有する者(当然に含む・除くの表記なし)、又は許可日が平成30年4月1日以降の許可証で、該当品目の後に括弧書きで「水銀使用製品産業廃棄物を含む。」の表記がある者に限定されます。なお、言うまでもありませんが、平成30年4月1日以降に「含む」の表記のない許可証が交付された処理業者が「含む」の許可を得るためには、事業範囲変更許可を得なければなりません。
また、私としては、許可期限が1年以上先に到来する収集運搬業者であって、水銀使用製品産業廃棄物を扱っている者は、それを扱う旨の「変更届」を提出して、「水銀使用製品産業廃棄物を含む。」の表記がされた許可証を交付してもらうことをお勧めします。こうすることで、取引先・排出事業者にその都度説明(言い訳)をしなくても済むようになります。
次に②の品目毎の表記ですが、これについてはこれまでと同様なやり方を採用するということで、特に違和感はありませんが、県内政令市や愛知県の許可証とは、表記方法が異なることをお伝えしておきます。愛知県等では、品目毎の表記ではなく、許可証の「取り扱う産業廃棄物の種類」欄の最後に、以上何品目水銀使用製品産業廃棄物を含む又は除くの表記を行っています。このような表記にした理由は、水銀使用製品産業廃棄物に該当する物が多岐にわたり、どのような品目かを特定することができないからだと聞いていますが、大変に融通性があり処理業者には有難いやり方だと考えます。
判りにくいので、以下の事例で説明させていただきます。静岡県・愛知県で、廃プラ・金属くず・ガラスくず・汚泥の4品目の収集運搬業許可を有する業者Aが許可期限到来後、以下のような更新許可証を交付されたと仮定します。
静岡県:廃プラスチック類(水銀使用製品産業廃棄物を含む。)
※ 金属くず(水銀使用製品産業廃棄物を含む。)
ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず(水銀使用製品産業廃棄物を含む。)
汚泥
以上4品目
愛知県:廃プラスチック類
※ 金属くず
ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず
汚泥
以上4品目(水銀使用製品産業廃棄物を含む。)
この場合、業者Aは、どちらの県でも「廃蛍光管」を取り扱うことは可能ですが、水銀使用製品に該当する「廃水銀電池」の収集運搬業務の依頼を受けた場合、愛知県内では可能ですが、静岡県内では取り扱えないことになります。同内容の更新許可申請をしても、交付される許可証の中身にこれだけ違いがあることを、処理業者は承知しておく必要があります。
今回は、許可証への表記だけで長くなってしまいましたので、機会を改めて水銀使用製品の見分け方や処理委託契約等について、書かせていただきます。
注:※ 実際の許可証は、「石綿含有産業廃棄物」「自動車等破砕物」に関する含む・除くの表記がされていますが、ここでは分かり易くするために