2018年09月03日
廃棄物ひとくちコラム
第29回 <行政処分の指針通知>
先月のメルマガはお休みをいただいてしまいました。楽しみにしていただている?読者の皆様には大変申し訳ありませんでした。さて、前回のコラムでは廃棄物処理法に基づく不利益処分の状況について書きましたが、今回は、不許可や許可取消し処分を行う際、各許可権者(許可権限を有する自治体)が拠り所としている環境省通知「行政処分の指針」について書いてみたいと思います。
この通知が最初に発出されたのは、平成15年でした。その通知の冒頭には、次のような記述があり、当時その権限を執行する立場にいた私は、「ドキッと」した記憶があります。
『一部の自治体においては、自社処理と称する無許可業者や一部の悪質な許可業者による不適正処理に対し、行政指導をいたずらに繰り返すにとどまっている事案や、不適正処理を行った許可業者について原状回復措置を講じたことを理由に引き続き営業を行うことを許容するという運用が依然として見受けられる。このように悪質な業者が営業を継続することを許し、断固たる姿勢により法的効果を伴う行政処分を講じなかったことが、一連の大規模不法投棄事案を発生させ、廃棄物処理及び廃棄物行政に対する国民の不信を招いた大きな原因ともなっている。(中略)違反行為が継続し、生活環境の保全上の支障を生ずる事態を招くことを未然に防止し、廃棄物の適正処理を確保するとともに、廃棄物処理に対する国民の不信感を払拭するため、以下の指針を踏まえ、積極的かつ厳正に行政処分を実施されたい。』
通知に記載されている大規模不法投棄事案とは、青森・岩手の県境や香川県豊島更には岐阜市内等全国各地で起こった大量産業廃棄物の違法処理事件のことで、大きな社会問題となり、税金を投入して行政代執行により原状回復を行わざるを得ない状況でした。結果、産業廃棄物処理に対する国民の不信感が増大し、真面目に適正処理に取り組んでいる大部分の処理業者も同じような目で見られるなど、産業廃棄物の適正処理の確保に厳格な法運用が求められていました。許可取消し等の行政処分発出により悪質業者は積極的に淘汰していくことを意図した通知でしたが、その結果は前回一覧表のとおりで、許可権限の執行に大きな影響を与えることになりました。
参考に、この違反をしたら、こういう処分という原案も示されていますので、載せておきます。本当に厳しい内容となっていますが、許可を有していないために行政処分を受ける可能性がない排出事業者の皆様も、委託先の許可業者は、こうした違反行為が許されない環境の中で、適正処理に取り組んでいることをご理解いただきたいと思います。