2018年10月01日
TUBOJUNコラム
第45回 「監視カメラ作動中」
唐突ですけどワタクシ怒り心頭であります。何がって?傘が盗まれたんですよ!しかも会社の傘立てで。しかもしかもこれが3回目ですから!そのうち2回はちょいと拝借的に後日戻ってきたが・・それとて同じこと。「さあ行こう」と会社の玄関を出て、傘立てを見ると、マイ傘が無い。雨はザアザア。傘を持ってこなかった不届き者が濡れずに快適、傘を持ってきた正直者が濡れネズミになるとは・・何たる世の不条理!まさか同じ会社にそんな不埒者がいるとは思いたくもないが・・憎き傘泥棒よ、絶対に許さじ!!!
で、新たなマイ傘。こうなりました。
ポジティブに考えるなら、私に隙があったってこと。出来心を生じさせたワタクシが悪うござんした。権利の上に眠るものは保護に値せず(格言)。自衛あるのみ。これで盗まれたら「太い奴め・・」と潔く観念します。どうだ~!持ってけドロボー!!
実際、マイ傘を見張る監視カメラなんてある訳ないのは、私のみならず誰もが承知。しかし、「監視カメラ作動中」の言葉がヒトの出来心を抑制するのも悲しいかな事実でしょう。アメリカの文化人類学者ルース・ベネディクトは、日本文化を説明した著書「菊と刀」の中で、西欧は宗教的倫理観に基づき自律的に善悪を判断する「罪の文化」であるのに対し、日本は内面的な倫理観ではなく他人の目が判断基準となる「恥の文化」だとしました。見られていなければ悪事を働くことに抵抗が薄れるという日本人論です。
とすると日本人の順法意識ではルールの整備や体制強化では効果がありません。それより他者や社会からの批判を重んじるのですから。結果、ばれなければ多少のルール違反は許されるという感覚になる。そこには自己規律はありません。従って日常的に人の目を意識し、緊張感を保てる「お天道様は見ている」体制こそが最も効果的なのです。天道なんていう古来からの倫理観や信仰心が薄れた現代では、社会に張り巡らされた無機質な監視カメラがお天道様の代わりになっているってことか。
似たような話がヒトの「目」と「利他行動」のメカニズム。ある人がお金を渡されて相手と分け合う「独裁者ゲーム」では端的に表れます。決定権はお金を渡された方にあり、全額独り占めしても問題ありません。このゲームを行う際、目の絵や写真が近くにあるだけで相手に渡す金額が増えることが分かっています。部屋を暗くすると相手に渡す金額が減ることも。目を意識することで人間は悪さをしないだけでなく、利他的にもなる。ヒトってそもそもが姑息なる存在。「お天道様は見てる」って言いたいけどね!
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