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2019年12月02日

廃棄物ひとくちコラム

第44回  <処分業における廃プラスチック類保管上限の緩和について>

前回のコラムでは、中国ショックに伴う廃プラ処理の逼迫に関して、環境省が一般廃棄物処理施設の活用を通知したことをお伝えしましたが、第2弾として「産業廃棄物処分業における廃プラスチック類保管上限を倍増させる」法令改正が行われましたので、これについて私の意見を書かせていただきます。

まず、改正内容を詳しくお伝えします。
1 改正法令:廃棄物処理法施行規則(省令)第7条の8第1項第3号に『廃プラスチック類の処理施設において、施行令第6条の11第2号に掲げる者(以下「優良産業廃棄物処分業者」という。)が、廃プラスチック類を処分又は再生のために保管する場合は、当該施設の1日当たりの処理能力に相当する数量に28を乗じて得られる数量とする。』が追加されました。法律本則の改正ではなく、省令改正で対応がされています。
2 改正のポイント:処分又は再生のための産業廃棄物の保管量の上限は、施行令第6条第1項第2号ロ(3)により、「1日当たりの処理能力に相当する数量に14を乗じて得られる数量(省令で定める場合にあっては、当該数量)」と規定されています。この最後の括弧書きのところで特例が設けられ、その具体例が省令第7条の8各号に定められています。代表的なものは建設業に係る産業廃棄物の保管数量で、木くず・コンクリート塊については28、アスファルト塊については70まで上限を緩和する規定となっています。今回これと同様に、原則14を廃プラスチック類では28まで緩和する措置がとられました。ただし、廃プラスチック類を処分する全ての施設に適用されるのではなく、優良認定を受けた産業廃棄物処分業者のみが対象となるところがポイントです。従って、優良認定を受けていない処分業者や自ら処分のための廃プラスチック類処分施設は対象外であることに注意が必要です。
3 改正に係る運用通知から:今回の改正は省令公布日である9月4日から施行されていますが、施行日翌日には環境省廃棄物規制課長名で運用通知が発出されています。この通知では、上限緩和される廃プラスチック類は、他の廃棄物と区分して保管することが要件と書かれていますので、混合廃棄物で保管する場合には、上限緩和が適用されないことになります。

以上が今回の法令改正の内容ですが、先月号コラムに書いた一般廃棄物処理施設における廃プラスチック類の受入検討と同様に、現状の処理逼迫状況を解決または緩和する方策にはなり得ないであろうというのが私の見解です。なぜなら、保管上限を緩和したところで滞留する場所が変わるだけで、根本的な処理促進に結び付かないからです。国が無策だと言われないためのポーズと捉えるのは、考え過ぎでしょうか。

また、今回運用通知では廃プラ処理逼迫対策第3弾として、次のような記載があります。

『廃プラスチック類等に係る処理の円滑化については「廃プラスチック類等に係る処理の円滑化等について(先月号コラムで紹介した通知)」において示した当面の対策について既に御協力いただいているところ、さらなる適正処理の確保や不法投棄防止等に資する体制の確保(都道府県が保有する未活用地を廃プラスチック類の保管場所として提供する等)についても検討されたい。』

今度は、市町村施設への受入に加え、都道府県所有地での廃プラスチック類保管の検討を言っていますが管理責任の点でほぼ不可能。このように実現性や有効性を無視した廃プラ対策のオンパレードは、国内外に間違った情報発信をしているように思えてなりません。

最後に批判ばかりではいけませんので、私が提案する廃プラ処理逼迫対策は以下のとおりです。

1 油化施設の設置促進
 油化は廃プラを油に戻す究極のマテリアルリサイクルです。油化技術の研究支援や油脂製造に係る規制緩和等が課題です。
2 大型発電施設の設置推進
 廃プラを直接またはRPF化して燃焼させ発電する設備を国策で推進する。塩素対策と二酸化炭素排出等が課題ですが、日本の技術力で必ず解決できると確信します。

国に言わせれば、「そんなことは考えているが、今公表できるだけの技術的な裏付けがないから、過渡的な暫定対策を示している。」ということなのでしょうか。

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