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2017年04月05日

廃棄物ひとくちコラム

第15回  「廃棄物処理法はどう変わったか(その2:排出事業者責任の強化Ⅱ)」

今回は、前回に引き続き、産業廃棄物処理の大原則である「排出事業者責任」について、法律規定が強化されてきた歴史を見てみたいと思います。前回は、主に管理票の規定について書きましたが、それと並んで重要な委託基準の1つが「契約書の作成義務」ということになります。思い返せば、私が初めて産業廃棄物行政に携わった平成2年頃には、この規定は存在しませんでした。せいぜい排出事業者、収集運搬業者、処分業者による、「三者契約の作成」を指導事項としていた程度で、契約といっても、廃棄物の流れが分かるB5版1枚に収まるような簡単な書類でした。

このような状況の中で、収集運搬業者が勝手に廃棄物の下ろし先を変えてしまい、結果重大な環境問題を引き起こした等の事例が散見されるに至り、平成12年に初めて「委託基準」の中に「契約書作成義務」が規定されることになりました。民法上、契約は口約束でも成立しますが、この法律改正で、書面による「二者間契約書」の作成が義務付けられることになりました。皆さんご存知のとおり、「二者間契約」とは、排出者と収集運搬業者、排出者と処分業者の間で締結される契約のことで、収集運搬業者と処分業者が異なる場合には、2通の委託契約書を作成する義務があることを規定しています。また、契約書に記載しなければならない事項も、その後数回にわたって追加される法律改正があり、現在のような膨大な内容になっています。

更に、平成12年の法改正では、前回お伝えしたように排出事業者の責任範囲が拡大されたことに伴い、措置命令の対象者が排出事業者にまで拡大されたことが、特筆されます。分かり易く、産業廃棄物が不法投棄された事件を例に解説してみたいと思います。或るところで不法投棄事件が発生し、行為者が判明、さらにその者への聴き取り調査から排出者が特定されたと仮定します。投棄された廃棄物の片付け(専門用語で原状回復と言います)に関して、当然に、まずは行為者に措置命令が発出されます。しかし、行為者には、原状回復を行うだけの資力がない場合が多いのが実情です。そんなとき、従来は「行政代執行」により自治体が原状回復を行うしか方法がありませんでしたが、この法律改正により、委託の過程で(委託)基準に適合しない事項が存在した場合には、排出事業者にも措置命令を発出できることに規定が強化されました。つまり、管理票や契約書等について、規定遵守がされていない又はそこまで行かなくても、記載漏れや一般的な処理料金に照らして著しく安い処理料金が設定されている場合等には、排出事業者が費用負担して原状回復を実施しなければならないという非常に厳しい法律規定が設けられたのです。私達の地域でも、産業廃棄物の不正な大量保管で処理業者が逮捕され、排出事業者に費用負担の要請がされた(措置命令の手前)事件は、記憶に新しいところです。

こうした、排出事業者責任に関する法律規定強化の背景を理解しながら、今一度、自社の委託基準適合状況を確認して見られるのは如何でしょうか。

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