2017年08月04日
廃棄物ひとくちコラム
第19回 「水銀廃棄物に係る法律改正ついて(その2:許可の取扱い)」
前回、水銀廃棄物の適正な管理を確保することを目的に廃棄物処理法施行規則が改正され、本年10月1日から施行されることになったことをお伝えしました。その中で、情報提供を急ぐあまり内容的に説明が足りず、正確にお伝えできなかった部分がありますので、整理しながら改正点を確認したいと思います。
1 水銀含有製品産業廃棄物は普通物
水銀含有製品産業廃棄物は、特別管理産業廃棄物には該当しません。例えば「蛍光管(蛍光ランプ)」は、普通物のガラス陶磁器くずと金属くずの混合物に該当しますが、今回の改正により、従来のように単純に破砕処分することはできなくなります。石綿を0.5重量%以上含む石綿含有製品産業廃棄物(例:石綿スレート板)が、普通物でありながら、破砕処分等が禁止され特別な処理基準が設けられているのと同じと考えれば理解しやすいかも知れません。
2 水銀含有製品産業廃棄物を取り扱うことができる収集運搬業者
法改正時(本年10月1日現在)に、「ガラス陶磁器くず」と「金属くず」の許可を有している(普通物)産業廃棄物収集運搬業者は、事業範囲の変更許可を受けることなく、水銀含有製品産業廃棄物を取り扱うことは可能です。一方で、環境省は各自治体に対し、水銀含有製品産業廃棄物を取り扱えるか否かを許可証に明記するよう求めています。従って、どこかの時点で、その表記が開始されることになりますので、品目名の後に、括弧書きで「水銀含有製品産業廃棄物を除く」と記載された者は、その取り扱いができないことになります。一般的な行政側の手法として、更新許可を出すタイミングで含む・除くの括弧書きを付けていくということが多いですので、全部の業者にその記載が完了するには5~7年の時間が必要となります。ただし、許可上水銀含有製品産業廃棄物を取り扱うことができる収集運搬業者であっても、法改正日以降は、①破砕せずに運搬すること②他の廃棄物と仕切りして区分することの処理基準が適用されますのでご注意ください。
3 水銀含有製品産業廃棄物を取り扱うことができる処分業者
法改正時に、「ガラス陶磁器くず」と「金属くず」の許可を有している(普通物)産業廃棄物処分業者であっても、改正処理基準である「水銀が大気中に飛散しないような措置を講じた処分施設」を有していないと水銀含有製品産業廃棄物を取り扱うことができません。従って、法改正以前に、自治体担当部局に当該中間処分施設が、改正処理基準を満たしているかの確認を受ける必要があります。おそらく、該当する産業廃棄物処分業者には、自治体担当部局から何らかのアクションはあるものと予測しますが、少なくとも改正時には「水銀含有製品産業廃棄物を含む」産業廃棄物の処分が可能であることについて、お墨付きをもらっていなければなりません。逆に、「水銀が大気中に飛散しないような措置を講じた処分施設」を有していない産業廃棄物処分業者は、委託者である排出事業者に対し、水銀含有製品産業廃棄物を受け入れることができない旨の周知が必要となります。なお、言うまでもありませんが、今回の改正は水銀の大気中への飛散を防止することを目的としたものですので、管理型最終処分場であっても水銀含有製品産業廃棄物を直接埋立することはできませんので、ご承知おきください。
4 排出事業者の対応
以上を踏まえ、法改正に際して水銀製品産業廃棄物を排出する事業者が行わなければならないことは、
① まず最初に、現在の処分委託先が、改正処理基準を満たす施設を有しているか否かの確認を行うことです。この機会に自ら現地確認に出掛ける又は許可権限を有する自治体に確認する等の方法が考えられます。
② 処分委託先が、改正処理基準を満たしていない場合は、新たな委託先を選定する必要があります。
③ 前回記述したように、(収集運搬を含む)処理委託契約書の品目名に水銀含有製品産業廃棄物の追記が必要です。先日の環境省説明会では、改正日にはこだわらないとの話がありましたので、委託先許可証の括弧書きがされたタイミングで追記を行うというのが良いと考えます。
④ 管理票(マニフェスト)への水銀含有製品産業廃棄物の記載は、改正日から行う必要があります。
以上です。法改正施行日までは、あと2箇月弱となりましたが、新しい情報が得られれば、改めてお知らせすることとします。