2017年12月04日
TUBOJUNコラム
第35回 「天邪鬼」
皆さま、こんにちは!真冬のような冷え込みと思ったら、一転して汗ばむような陽気。そんな寒暖の差が激しい今日この頃、とはいっても12月です。本格的な冬の訪れと共に私が楽しみにしているのは石油ストーブ。我が家にはアラジンの「ブルーフレーム」とニッセンの「ゴールドフレーム」という2台の石油ストーブがあります。暖房器具の性能としてはファンヒーターやエアコンの足元にも及びません。しかし、マッチを擦り、レトロな石油ストーブに火を入れ、揺れる炎を眺めていると心が暖められるようです。
最近は残暑から急に冷え込み「秋が無い」なんて声をよく聞きます。10月までクールビズなんて会社もありますが、10月も下旬になると寒々しくも見えますし、ましてや暖房の中でクールビズなんて滑稽な光景も実際にありました。子供じゃあるまいし、ネクタイを付けるも付けないも一律で決めずに常識と良識による自己判断で決めればいいのに、と私は思いますが。よくよく考えれば小学生の我が子は、厚手の校服を着るか着ないかは自分で決めている。大人より子供の方が自己判断に任せられているのも不思議なものです。
ところで、クールを日本語に訳すと寒い、冷たい、涼しいといったところ。日本語、英語ともに温度に対する皮膚感覚の他に、それらの言葉には否定的・肯定的な感性の意味も含まれているのが面白いところです。言うまでもなくクールと涼しいが肯定的、寒いと冷たいが否定的な表現として使われます。先の話でいえば、暑い時期にあって涼しげに見えるからこそのクールビズであって、寒くなったのにまだやってんの!?は全然クールじゃありません。そもそもクール(カッコいい、イケてる)なんていうのは人から見ての評価であり、自ら言うものではありません。
そういった意味で疑問に思うのは「クールジャパン」などというもの。クールな日本文化を世界中に輸出する国家成長戦略として政府が大々的に税金を投入してやっている訳ですが、クールなんて自ら評することが逆に「お寒い」のです。日本のアニメなどが海外で受けているのを端緒とした発想ですが、それはあくまでサブカルチャーの範囲の話。これがイケてる日本文化だ!という押し売りがイケてる訳ありません。そもそもクールジャパンは20年前の英国が進めた「クール・ブリタニア」の二番煎じ。しかも本家英国ではクールと自称することの危うさに自ら気付き、文化は多様性が大事だという考え方の広まりともに早々に下火になったというのに。
同じくもう一つ。最近、テレビをつけるとやたらと増えた日本を賞賛する番組。日本に来た外国人が、技術、食、マナー、伝統、おもてなし、などに驚き褒めちぎる「ニッポン褒め」の番組。増えたということは、それだけニーズがあるということ。しかし、私は見ていてクールジャパンどころか寒さと息苦しさを感じます。念のため付け加えますと、私は思想的にはアッチでもソッチでもありません。むしろアッチもソッチも両方嫌いなニュートラルと自負していますので。だだし、愛校心、愛社精神、ナショナリズムなどなど、総じて帰属意識というものが希薄だというのが影響しているのは間違いないでしょうが。だとすると、ニッポン褒め番組を見ていて感じる妙な息苦しさの正体はやはり・・。
日本語でいう「多様性」、カタカナ語でいう「ダイバーシティ」、ともに言葉としては社会に定着しました。多様性(ダイバーシティ)が大切ですよ、と言葉だけが独り歩きしているだけで、逆に感じる同調圧力。多様性尊重の掛け声に反して実際は外の世界への関心を失い視野が狭くなった今の日本社会を、あるルポライターは「意識のタコツボ化」と評しています。そんなタコツボ社会に染まらないため、私は意識して行動することにします。いや、意識しなくても絶対に染まらないでしょう。私、自他ともに認める大の天邪鬼ですから!
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