2018年01月09日
廃棄物ひとくちコラム
第22回 「年頭に当たって(1年の振り返りから)」
明けましておめでとうございます。このコラム掲載も3年目に入りますが、読者の皆様には、興味を持ってお読みいただき、かつ日常業務に役立つ情報をお届けできるよう努めてまいりますので、引き続きご愛読くださいますようお願いします。
年頭に当たり、今年こそ廃棄物処理を取り巻く事件・事故のない平穏な1年であって欲しいと願うものですが、その前に昨年1年間を振り返ってみたいと思います。廃棄物処理に係る主な話題としては、私の独断で言わせていただければ次の3つが挙げられます。
1.水俣条約の発効と水銀含有廃棄物の規制強化
2.森友学園問題と埋設廃棄物
3.岐阜県内で発生した高速道路への汚泥流出事件
1の水銀関係の話題については、排出事業者・処理業者ともに大変関連が深く、処理業許可や委託契約、管理票の記載等いずれの立場であっても、従来のやり方の変更を迫られることについて、緊急情報として数回にわたり寄稿させていただきました。しかし、私の感覚からすると以外に反響が少ない、困ったという声が聞こえてこない気がします。静岡県内においては、許可権者である自治体の動きも鈍いですし、排出事業者へ情報が届いていないのではと考えてしまいます。今年の4月からは、県内においても許可証への「水銀廃棄物を含む・除く」の表記が始まりますので、今後徐々に影響が出てくるのではないかと推測します。確認のため書きますが、昨年10月1日から法律は既に施行されていることをご認識いただきたいと思います。
2つ目の森友学園の用地払い下げに関する疑惑は、「忖度」という流行語とともに連日マスコミを賑わしましたが、その主要因となったのは埋設廃棄物でした。全国にこうした場所が存在すること、工事に伴い露出した廃棄物は、現行法に基づき適正処理を行う必要があること等を世間に知らしめた事件でした。
3つ目の汚泥流出事件は、発生直後の本連載9月号で取り上げました。流出汚泥は、健康被害を生じるおそれがあると報道されましたが、一応沈静化は図られています。呼吸器系の障害は、徐々に表れるということが定説ですので、今後それがないことを願うばかりです。事件捜査は、予想したとおり相当に難航しているようで、原稿執筆している現時点で検挙等の情報は届いていません。
そして、新しい年に目を向けてみますと、既に4月に改正法が施行されることが決まっています。昨年6月に平成に入り43回目の法律改正がありましたが、その施行期日が本年4月1日となっています。主な改正点は、
1 管理票虚偽記載(入力)に対する罰則強化
2 許可を取り消された者に対する措置の強化
3 市中で見掛ける「無料回収業者」等の廃家電回収業者に対する届出義務化と基準適用
4 親子会社間の許可免除制度の新設
等となっています。関係通知等が発出され改正点の詳細が判明しましたら、改めて情報提供させていただきたいと思います。
今回の改正は、平成23年4月の大改正から5年が経過した中で、現状の課題を解決するために行われるものと聞いています。例えば1及び2の改正は、一昨年に発生した「ダイコー事件」再発防止対策として盛り込まれたものであることを考えると、事件発生→基準や罰則の強化という連鎖を断ち切り、廃棄物を取り巻く事件や事故のない適正な処理が確保・継続されることが最も重要なことではないかと考えます。
年頭に当たり、こうしたことを踏まえ、読者の皆様におかれましては、それぞれの立場で、どのように廃棄物処理に取り組んでいけば良いのかを改めてお考えいただく機会としていただけましたら幸いです。本年もよろしくお願い致します。